昨年書いた以下の記事から約1年が経った。その後見えてきたことなどを振り返ってみる。ちなみにJTCは通信系のどこかです。
- 現状
- 大企業には優秀な人しかいない
- 腰を据えて仕事するには向いている環境
- 部門間調整(官僚仕事)が多い
- 中間管理職マジつらそう、でも偉い人は優秀
- サービス内容の改訂に20人のおじさんと話す必要がある
- じゃあどうなったら良いか?
- 今後に向けて
現状
転職前に期待していた以下のことはだいたい実現できている。
- 社会的な意義があり、時流に乗った新規事業立ち上げに腰を据えて取り組む
- 商品企画としてのスキルアップ
狙った通りの仕事ができている、というのは中途採用の強みかと。
大企業には優秀な人しかいない
まず大企業に対してポジティブな面から。
少なくとも中にいる人はみんな基本的に優秀で前向き。ここで言う優秀さとは、手も動かせて、理解力も高くて、コミュニケーションにおいて変な癖があまりない、ということ。全体的に、人数 x 振ったタスクのアウトプットがきれいな掛け算になることが多く、噛み合ったときの仕事が早い。なので仕事がやりやすい。
あと今いる会社は思っていたより前向きな人が多い。責任の押し付け合いみたいなものが少なく、タスクが発生したら大体期日通りに何らかのアウトプットを持ってきてくれる。それだけで非常にありがたい。
仕事をしないおじさんもいることはいる。ただそういう人に日々触れるかどうかは、自身が運良く時流に乗ったポジションについているかどうかによる。ノっている仕事に関わっている限り、その仕事を通じて関わる人は優秀な人しかいない。
腰を据えて仕事するには向いている環境
大企業は手掛ける仕事の質・量ともに大規模であることが多い。私の担当してるサービスも、数年がかりで本格化させてゆく、という時間軸で動いている。
ベンチャーであればこの数年の中で資金繰りも含めて抜本的なピボットが何度かあり得るが、大企業は良くも悪くも一度決めた方針についてはブレない事が多い。この点は、これまで所属していたベンチャーがブレまくっていたことに比べたら、腰を据えてスキルアップできる環境ということでポジティブに捉えている。
部門間調整(官僚仕事)が多い
商品企画は社内調整のハブとなる部門だ。今でも、日々の営業からプロダクトへの問い合わせに対応しながら、情報システム部、出荷関連部門、法務系の部門、営業や経理の統括部門などとの定例会を通じてサービス拡充を図っている。
他部門が絡むので、当然ながら政治的なやり取りが発生する。
先日も情報システム部が見つけてきた発注先に対し、費用が高すぎるとのことで私の部門で別のベンダーから相見積もりを取得し、検討の俎上に載せさせた、ということがあった。官僚出身の妻に今の私の業務内容を話したら「官僚やってんね」って言われた。
ベンチャー→大企業の転職として意外と思われるかもしれないが、こういう官僚仕事をすることはポジティブに捉えている。
比較的小規模な組織であるベンチャーのメリットは、こういう組織の動きの全体観を把握できること。そういう視点を持った上で、より大規模な組織の調整役になり、結果としてより大きな仕事を回す、というのは面白い。最初から大企業の歯車の一部として育っちゃったら、全体観なかなか見えないから。
中間管理職マジつらそう、でも偉い人は優秀
この辺からややネガティブな話。
課長クラスの中間管理職の業務量は異常である。かつ、下からも上からも詰められる部門なので、いかにいい人が多い会社といえど、面の皮が厚くないとやっていられない。そのため部長クラス以上は魔物のようなおじさんたちがなっている印象である。課長クラスで淘汰がなされている。私の属する課長は幸いなことに良い人なのだが、本当に良い人なようで日に日に疲れが増している。
この点は私のキャリアプラン的にも影響がある。今の部署に転職してきたのは、社内でも比較的傍流であり、管理職に昇格する競争が比較的ゆるそうだ、という目論見があった。ただし見ている感じ、JTCの管理職は明らかにもらっている給与と責任のバランスが取れておらず、魅力的なお仕事には見えない。いや、魅力的にしようと思えばできるんだろうけど、ソフトスキル含めた多方面の能力と覚悟が求められる。
サービス内容の改訂に20人のおじさんと話す必要がある
あるあるネタなのかもしれないが、報告をする側より報告を受ける側が多い。私の担当してるサービスは数人のチームでやっているのだが、そのサービス内容の改訂のために、20人くらいのおじさんと調整し、承認を受ける必要がある。しかも前述の通り、みんな魔物のようなおじさんたちなので、着眼点や指摘内容もキレキレなのだ。
結果として、簡易なサービス内容の改訂であっても、方針決定からリリースまで非常に時間がかかる。プロセスやシステムの改修が必要な場合は、費用取得も含めて年間計画が必要だ。
このレビュープロセスの良し悪しについて、正解はわからない。改訂案を上げる側の現場がある程度優秀であれば、レビュープロセスの前後でアウトプットはほぼ変わらない。そのためレビュープロセスは、その責任を現場から会社に転嫁するための儀式だとも言える(もっとも、実際にコケたときには現場が詰められるんですが)。
じゃあどうなったら良いか?
後半2つの部分の改善方法は、正直わからない。多分大企業の永遠の課題。
- 優秀なおじさんが上に登っているのに、「稟議」という形で方針改善がボトムアップで承認を得るプロセスになっているのは非合理的
- 一方で大企業が一体となって動いていくためには一定の内部の合意形成プロセスは必要
- 管理職以上は多忙すぎるので上記状況の改善やトップダウンの方針を指示して実行する時間が取れない
- 権限移譲ってもはや実態を伴わない言葉になっちゃってるけど、でも承認プロセスを簡易にするってことは権限移譲をするしかない
- そもそも社内プロセスがどんな形であれサービス提供ができていて売上も利益も上がっているのであれば、それは根本的な課題ではない
今後に向けて
社会的に意義があり、かつ時流に乗ったプロジェクトに関われて、関係各位とも良好な関係を築くことができ、この先1〜2年はやるべきことがはっきり定まっているので、引き続き粛々と現職でのお仕事に邁進する所存です。
一方で今後のキャリアプランについては、昇進を目指す以外の選択肢も現実的に見てみることにします。