2026年、今年私は40歳、いわゆる不惑になる。
30代で結婚し、子供が2人産まれ、自宅を建てた。仕事面では同じく30代で4回の転職をし、今は大手日系企業で、部下を持たない管理職として働いている。妻も3回の転職を経ている。
転職回数が人より少し多そうなことを除けば、東京で働くフルタイム共働きの核家族家庭として平凡な部類に入ると思う。
そんな私の、ここに至るまでのキャリア面の意思決定を振り返ってみると、家族構成など自身の環境の変化に伴う価値観の変化に従って来たように思う。アラフォーの何が不惑なのか、自身を振り返りつつ考えてみる。
子供の頃からの憧れを仕事にした20代
私の新卒の就職先は、子供の頃から憧れていた業界だった。具体的な業界名は伏せるが、ハードウェアが絡み、何かあればメディアにも登場するような技術系の業種である。
子供の頃から抱いていた憧れを、20代になっても持ち続けられることには大きなメリットがある。学生時代から何度かある進路選択など、人生の岐路において大きな指針となり、遠くまでたどり着け得ることだ。一方、その憧れは社会を全く知らない頃に形成されたものなので、大人になったときの価値観や働き方と必ずしも整合するとは限らない、というデメリットもある。
以下キャリアのVSOP - Chikirinの日記より引用

引用終わり。
結果的に、新卒入社した会社とは、価値観・働き方・キャリアいずれも合わず、30歳を少し過ぎた頃に退職することになった。
貴重な新卒入社カードを使ったこの就職は失敗だったのか?その後の複数回の転職は新卒の就職先の配属ガチャで引き当てた職種を修正するために行った面もあるし、年収だってもっと早く上げられていた可能性もある。
しかし何度内省しても、この新卒の職場での経験は子供の頃の夢の実現そのものであり、私の人生において必須なものであった。これを経験しなかったら、心のどこかに凝りが残ったかもしれない。
また、この際の職種がシステム・エンジニアリングに根ざした品質保証であったことも、その後のキャリアに一定の影響を及ぼしている。理系大学院を卒業し、同級生の大半が特定の技術領域に特化していく中で、品質保証は必ずしも特定の技術領域に深く寄らない。その代わり、普遍的な問題解決の考え方や、プロセス全体を見る視点が身についた。このようにファーストキャリアが比較的潰しの効く職種であったことは良かったのではないかと思う。
転職を経て自身の価値を再確認した30代前半
最初の転職は不安と期待が入り混じったものだった。最初の職場は人間関係は悪くなく、社内の専門家として成長していく余地も、部署異動によって新しいことに挑戦できる可能性もあった。この時代においても、将来の収入予測をある程度立てることもできた。資産的に潤沢でなかった私にとって、それを手放す決断は自分でも意外なほど難しかった。
また、転職活動自体も決して簡単ではなく、いわゆる自身の市場価値みたいなものを突きつけられた。しかし裏を返せば、前職にとどまればとどまるほど、より身動きが取れなくなるのではないか、という不安の方が大きかった。
総じてこの時期は「より不安の少ない方」「より希望が見える方」を探していた。「貧すれば鈍する」の体現で、持っている資産が乏しかったことや、自分にあまり自信をもてていなかったことも判断を鈍らせた。
色々迷ったが、結果的に、このタイミングで転職に踏み切ったことは、その後の人生の自由度を大きく上げてくれた。困ったら転職という選択肢を現実的に持てるようになり、そのために常に自身の立ち位置や強みを意識して動こう、というマインドが実体験として身についた。
また時代背景にも恵まれ、もともと自分が関わっていた技術領域が、金融やインフラといったより普遍的な分野でも活用され始めた。その結果、「待遇が良く、かつ時代を超えた普遍性のある大企業内の専門家」というポジショニングを手に入れることができた。「モノづくりからユーザーに近いサービスサイドへ」という軸でキャリアを探していたことも功を奏した。
最初の転職先がスタートアップで、何でも自分でやらなければならなかったことも学びを得るとても良い機会だった。が、このへんはかつて書いた気もするので割愛する。
価値観が大きく変わった結婚
最初の転職と同時期に、妻と結婚した。結婚は、私の人生の中でも最も良い意思決定だったと思っている。
妻は常に自分の考えを持ち、仕事と家庭を両立し、資産運用にも明るい。結婚を機に、私のキャリア観は「個人としての成長・成功」から「家庭と仕事の両立」に明確にシフトした。また当初からダブルインカムだったこともあり、資産形成の面でも余裕が生まれ、自身のキャリアもより攻めた選択ができるようになった。嫁ブロックの逆である。
結果的にその後も複数回の転職をし、そのたびにより良い職場に巡り合うことができた。また中長期的には、仕事のみに没頭するのではなく、家庭と自分の時間を大事にできる働き方を選びたい、という考え方がこの頃から芽生え始めた。多分このあたりの言語化を試みたのが以下の記事。
家庭との両立を図る30代後半
30代で子供が2人産まれ、スタートアップを経て再び大企業に転職した。この頃から、職場選択における価値観は大きく二つの点で変わった。
一つ目は、自身の生活を通じて、より地に足のついた物事に目を向けられるようになったこと。いわゆる専門バカからの脱却である。
二つ目は、より明確に、仕事より家族を優先する、という価値観が明確に定まったこと。
前者について。20代まではお金もないし、生活者としての経験も限られていた。30代になり、結婚し、子供ができて、家を買い、保険に入り、資産運用を考えるようになる中で、生活を通じて初めて理解できた社会の仕組みが数多くあった。こうしたことが職業選択においても、子供の頃の憧れから、今の社会において現実的に価値があるものへ関心が向くようになったのだと思う。
不惑をどう過ごすか
最初の就職とそれまでの意思決定は、端的に言うと自身の興味を満たすためだった。
結婚・出産を経て、私自身が本音で関わる世界が少し広がり、仕事に求める内容が変わってきた。平たくまとめると、環境の変化に応じた価値観の変化それ自体はおそらく普通のことで、その時々の変化に応じて素直に適宜対応してきた結果が転職回数に現れているのかもしれない。
改めていま、何が自分を「不惑」たらしめるのかというと、やはり家族構成の確定が大きい。仕事は私自身や職場自体のためだけではなく、家族の糧のためであり、それを通じてこの家族が暮らす社会をより良くするものであり、その関わり方を通じて子供に見せる私の背中を鍛えるためのものになってきた。
何が不惑かというと、家族という今後の人生の最小構成単位たるチームが確定したことで、迷う事柄の粒度と、迷う際の価値観レベルのブレが小さくなったのかな、というのがまとめです。
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