おとうのオートノミー

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プロジェクト・ヘイル・メアリーに刺激されて読んだSF名作の紹介

ここ数年、まともに読書をしてこなかった。ところが2023年末にプロジェクト・ヘイル・メアリーを読んで一気にSF熱が再燃した。いくつか読んで面白かったものの記録を残しておく。

「星を継ぐもの」ジェイムズ・P・ホーガン

これは傑作だった。これまでに読んだ本の中でも、印象に残るSFとしてトップクラスに入った。

月面で5万年前に死亡したヒトの死体が発見される。しかもその死体は宇宙服を来ていた…。という謎から始まり、最終的に今の太陽系がなぜこのような形になっているかを解明していく。水金地火木土天冥海…という太陽系の並びは常識だが、この常識を前提にしつつその裏にとんでもない物語が隠されていた、という後半の種明かしは大興奮。常識を疑う知的好奇心をダイレクトに刺激してくれる。

本書には「ガニメデの優しい巨人」という続編もある。往々にして続編はクソだが、なんとこの続編は「星を継ぐもの」で語りきれなかった舞台設定の謎を追加で解明していく。面白かった。

幼年期の終わりアーサー・C・クラーク

まだ読んだことのないSFの名著を読む、ということで、「星を継ぐもの」についで読んだ本。

宇宙に進出しようとしていた1960年代の人類の前に、遥かに高度な科学技術を持った存在である「上主」が現れる。上主の庇護の元、人類間の争いは過去のものとなり、人類は黄金の時代を歩んでいたが…。という本。

この本の感想を書くにあたり、もう一冊紹介してからまとめて書く。若干のネタバレも含むのでご注意を。

「最終人類」ザック・ジョーダン

最終人類は、ザック・ジョーダンの初作。この前に紹介した2作品が1950-70年代に書かれたクラシックなのに対し、本書は2020年に発表された新しい本。

はるか彼方の未来、サーヤは人類である身分を隠し、異種生物の母親と一緒に暮らしている。この世界では人類は暴力の限りを尽くした忌み嫌われる存在であり、とうの昔に滅亡したことになっている。ところがある日サーヤの前に「てめえの生まれを知ってるぜ」と告げる、高次の知性をもつ存在(オブザーバー類)が現れ、サーヤは壮大なスペース・オペラに巻き込まれてゆく…。

というお話。

幼年期の終わりと最終人類は、以下に示す通り大まかなプロットが似ているので、同時期に読めてとても良かった。

  • 人類が個人として獲得できる知性には上限がある。宇宙には更に高次の知性を持つ存在がいる。それは個々の精神が他の個体の精神とリアルタイムに繋がり、広大なネットワークを構成する。
  • 人類が高次の知性と接するための媒介となる存在が登場する(幼年期の終わりなら「上主」、最終人類なら「オブザーバー類」&「ネットワーク」)。その存在による人類に対する働きかけは、人類からの見方によっては独善的であり、強制的に高次の存在に取り込もうとする。

どうでしょう、どこかで聞いたことのあるプロットだと思いませんか。

そう、エヴァンゲリオンにおける人類補完計画や、攻殻機動隊です。更にいうと、ナウシカの漫画で王蟲が喋る「我々は全として個、個として全」やマクロスFの敵など…。幼年期の終わりが1950年代の発表なので、後世に与えた影響は計り知れない。

もっとも、この2作品のお話のテイストは全く異なる。幼年期の終わりは、地球人類が徐々に変化していく姿を比較的淡々と描く。一方で最終人類は、最初から最後まで多種多様な宇宙人が登場し、戦闘シーンも多い。ビートルズと最新のロックバンドを聴き比べる、みたいな感じでどっちも読むと面白いかと。

ついでに攻殻機動隊の第1巻も合わせて読むと面白い(第2巻は観念的過ぎてよくわからんので)。

この辺の本を読むと、スマホやPCというインターフェースから、インターネットを介して様々な情報、さらにはその情報を発信している他人と繋がっている、という現代の構造が、「他者とリアルタイムにつながる」という人類補完計画的な概念の原始的な状況だという見方もできる。ただ、それが人類の知性を押し上げているか、というと疑問が残るので、「何を持って高次の知性とするか」の定義によるんでしょうね。

おまけ:プロジェクト・ヘイル・メアリーを読むに至った理由

ブラックフライデーでハヤカワSFはKindle本が50%OFFになる。その辺で本しゃぶりというブログを読んでそのまま買った。日々購読するRSSフィードをメンテしててよかった。

honeshabri.hatenablog.com

この先読むSFは、以下のブログを参考にしている。

www.orehero.net

SFの名著を読むには図書館が便利だ。名著は大体古いことが多く、需要もそんなに高くないので、予約すれば比較的すぐに借りられる。