ここ最近SFの名作を色々と読んできて、時代ごとに扱うテーマに一定の傾向のようなものがあるなと思いました。Chat GPTに手伝ってもらってまとめたのが以下です。あくまで私が読んだ本がインプットになっているので網羅はできてませんが、自分が読んだ本の位置づけの確認や、次に読む本の参考になります。
19世紀後半 - 20世紀初頭: 早期SF
- ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」(1864)や「月世界旅行」(1865)は、未知の地域や未来の冒険を描いており、当時の科学的な進歩への興奮を反映している。
19世紀末: ウェルズの科学的想像力
- H・G・ウェルズの「タイムマシン」(1895)や「宇宙戦争」(1898)は、時間旅行や異星人といった科学的なテーマを取り入れ、社会的な寓話としても機能している。
20世紀初頭 - 中盤: ディストピアと社会の反映
- オルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」(1932)やジョージ・オーウェルの「1984」(1949)は、ディストピアや社会の問題に焦点を当て、時代の不安や懸念を映し出している。
1950年代 - 1960年代: 黄金時代と新ウェーブ
- アイザック・アシモフの「われはロボット」(1950)やロバート・A・ハインラインの「夏への扉」(1957)は、黄金時代の硬派なSFを代表し、人工知能やタイムトラベルがテーマとなっている。
- 新ウェーブSFでは、ロバート・A・ハインラインの「月は無慈悲な夜の女王」(1966)やウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」(1984)などが登場し、心理的な要素や技術の影響を強調している。
1980年代以降: サイバーパンクとアジアンSFの台頭
- ウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」(1984)はサイバーパンクの代表作となり、コンピュータ技術やサイバネティクスが重要なテーマとなる。
- アジアの作品としては、劉慈欣の「三体」(2008)が登場し、中国SFの国際的な注目を集める。
2010年代以降: 多様性と社会的テーマ
- アンディ・ウィアーの「火星の人」(2014)や「プロジェクト・ヘイル・メアリー」(2021)は、科学的なリアリティを重視しつつも、個人のサバイバルや問題解決に焦点を当てている。この時代には、多様性や社会的テーマが注目され、異なる視点からの物語が増えている。
所感
個人的には2つ興味深い点があります。
- SF = Science Fictionというジャンルには、一定のスタンスに立った社会を想像するSocial Fictionという側面もあること
- アンディー・ウィアーは人の内面に入っていかず、純粋に科学とロジックがテーマであること
1.について。「タイムマシン」「素晴らしい新世界」「1984」「ニューロマンサー」などなど、いずれも技術的なギミックもさることながら社会構造や批判が明に暗に込められた作品です。技術的ブレークスルーが社会を変える、という作家の期待もあってのことかもしれません。ただそこで描かれる社会の雰囲気というか世界観に合うかどうか、という点が読者を選ぶと思いました。「2001年宇宙の旅」の続編である「2010年」が冷戦批判に振りすぎてそんなに面白くなかったように。
2.について。2作品しか読んでませんが、アンディー・ウィアーの作品(火星の人、プロジェクト・ヘイル・メアリー)は人の内面の葛藤をほぼ描かない、という点で特異に感じました。いずれの作品の主人公も、その性格は「ロジカル、問題解決特化型、解決できる問題しか扱わないので悩まない」であり、出てくるのはあくまで技術的な課題とその解決法だけです。大半のSF作品が、主人公または社会が抱えている鬱屈にどう対峙するか、がテーマなのに対し、彼の作品はカラッとしていて気持ち良い。「ダ・ヴィンチ・コード」で知られるダン・ブラウンの作品とも通ずるものを感じました。