おとうのオートノミー

家を建てること、育児のことなど。

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家を建てる際に参考にしている本

この度都内で30坪弱注文住宅の新築戸建を建てるにあたり、参考にしている本を並べます。

【おすすめ本】は、比較的汎用的に参考になる本。抽象度が高く、比較的万人にとってどこかしら参考になる考え方が学べる本。

【イマイチだった本】は、著者の個人的体験に寄っていて、参考になる読者が限られる本(言ってしまえば自分語りが多い本)を、それぞれ指します。

【おすすめ本】

「それでも建てたい家」「日曜日の住居学」宮脇檀著

頼れる文庫本というのがある。豊富な経験がにじみ出ていて、断定口調に信頼感があって、出てくる例がわかりやすい。とはいえそんな本は、他には松田道雄「育児の百科」、外山滋比古「思考の整理学」くらいしか知らないが。

この本はまさにそんな本。実際の建築前後の施主と建築家のやり取りをイントロに、家づくりにまつわるあるあるネタを列挙していくエッセイ集。発行はそれぞれ1983年と1993年なので、いずれも今から四半世紀以上前の本だが、出てくるネタに古さは感じない。リビング学習もスキップフロアも、かなり枯れた概念だということがわかる。

家は作ることに重きが置かれすぎて、そこでどのような生活を送るのかが軽視されることが著者の一貫した課題意識。一方で、課題提起をしっぱなしなのもこの本。解決策は人それぞれということ。

「納得の間取り 日本人の知恵袋」吉田桂二著

1930年生まれの建築家である著者が2000年に出版した本。全ての章が見開き2ページほどで完結するのでエッセイ集に近い。「それでも建てたい家」と合わせて読むと、戦前から現代に至るまでの日本の住宅を俯瞰できた気持ちになれるのでは。

この著者の一貫した課題意識は「日本の家には必要以上にモノと個室が多い」ということ。個室の壁を壊して一体空間にするリノベとか、こんまりと断捨離が比較的メジャーな概念になったのは時代の流れなんですね。

「間取りの方程式」飯塚豊著

今回の住替え以前から、著者は違えど同じシリーズの「住まいの解剖図鑑」「片付けの解剖図鑑」と並んで参考にしていた本。体系的・論理的・網羅的な名著だと思う。179ページの本文に余計な部分は一切なく、かつ敷地の特徴から見た間取りの王道だけでなく「たまり」や「中間領域」の重要さまでカバーしている。絵も可愛くて直感的でわかりやすい。

「小さな家を建てる。」若原一貴著

今回我々が検討しているのが30坪未満の比較的狭い家であることもあり、タイトルに惹かれて読んだ本。出てくる家のサイズが想定に近い大きさであることや、陰影の付け方などセンスの良いアイディア集的な本。

実は我が家の設計者を選ぶにあたり、若原アトリエにもお邪魔した。若原先生は非常に気さくな人であり、かつ芸術家肌というか、家の作り方を「施主の生活や人となりが具体的に見えてきたタイミングで設計のインスピレーションが降りてくるんです」というようなことを仰っておられた。以下の記事では設計案の提示までに2ヶ月間の交流を挟んだという。その後住む年数を考えると、多少他の人より時間はかかれども、理想的な提案方法の一つだと思う。

100life.jp

【普通だった本】

エクスナレッジの本

ここで挙げている本を含め、間取りについて書かれた本はエクスナレッジ発行の本が多かった。建築はじめ技術書や写真集など幅広く発行している出版元らしい。

X-Knowledge | 「10年以上人気・住まいの書」の検索結果

「決めました。無印良品の家に」河原亜由子著

無印良品の木の家の施主さんが書いた以下のブログをまとめた本。無印良品の家をかなり真剣に検討していたので気になった。家作り以外にもすっきり楽しく暮らすコツのアイディアに溢れた本だった。あと別の観点で、著者は写真も生業にしているとのことで、個人ブログと綺麗な写真は相性が良い。

soramujihouse.amebaownd.com

衝撃だったのは、ブログの最終更新後の2023年夏に、著者が引っ越しをしていたこと。インスタに載っている。せっかく建てた家どうしたの?って気になって夜しか眠れない。

【イマイチだった本】

「宮脇檀の住宅デザインの教科書」中山重信著

最初にエッセイを紹介した宮脇檀さんの建物を集めた作品集。挿絵が非常に良い。

この本を「イマイチ」にカテゴライズさせたのは、抽象化が弱い点。宮脇さんの個々の建築を無理やり一般化し、タイトルに「教科書」と入れてしまった点。まだ「作品集」と銘打ったほうが合っている。おそらく宮脇さんの建築は、個々の施主ごとに合わせたデザインになっている。それを「食卓を中心にしたワンルームLDK」とか、無理やり一般的なタイトルつけてる感あるところに違和感がある。

「アンチ・ハウス」森博嗣・阿竹克人著

森博嗣が建物を語る!という点に対する興味で読んでみた。ごく個人的なガレージ建築プロジェクトの施主と設計者のやり取りを、時系列順にすべて載せる、という、当事者以外は非常に入りにくい本だった。

「住宅は骨と皮とマシンからできている」野沢正光著

OMソーラーという、空気を媒介にした低環境負荷な暖房システムを中心に、著者が建築について色々語る本。全体的に散逸的な構成で、サンプル数1の個別事象をいきなり一般化するような、やや理想論に近い話が続き、読み物としても入っていけなかった。アイディアとしても、都内の狭小住宅を建てる施主の参考になるものはほとんどない。

OMソーラー自体について。これは冬の暖房の熱源を太陽にするシステムのこと。経済性を考えると、システム導入の初期投資と、ランニングコストの減少分のトレードオフで評価すべき。おそらく断熱性高い家に省エネエアコンを入れたほうがメリットは大きいと思う。