前回の記事では、転職後半年で仕事の進め方の様々な悩みに直面し、それをなんとか言語化したことで前向きに仕事を進められるようになったよ、というお話を書いた。
今回は、その悩みの根底にある、そもそもの仕事への向き合い方の課題についても整理してみる。
- 課題1:子供ができたことによる人生における優先順位の変化
- 課題2:仕事に対する金銭的インセンティブの低下
- 課題3:自分のメンテナンス時間の低下
- 課題4:残業で仕事を進めるやり方が物理的にできず出力が低下
- 解決策1:今の環境への感謝
- 解決策2:キャッシュフローを悲観的に捉えて備える
- 解決策3:本心から取り組める仕事に集中する
- まとめ
課題1:子供ができたことによる人生における優先順位の変化
今の私が40歳手前、子どもたちは保育園児。順調に行けば子育てのピークタイムはこれから20年くらい。その中でも幼少期の今は親との接点が最も多い時期だ。端的に言って、仕事なんかしてる場合じゃなく、子どもにもっと向き合うべきなのでは、という悩み。フルタイムで仕事していると、それだけで平日の時間と体力の大半を持っていかれるから。

課題2:仕事に対する金銭的インセンティブの低下
「子供を育てるためにお金が必要、だから今が仕事の頑張りどきなんじゃないか」というのはごもっとも。でもそれの考えが私の防波堤になりにくいのは、我が家には既に一定の資産があるから。やり方によっては資産の取り崩しだけでかなり長い期間食いつないでいけるだけの蓄えはある。いわゆるFIREのうち、Retire Early:早期退職の願望。
もっともここにはいくつかの制約がある。
- 資産の大半が有価証券であり、現金化する際に含み益に対する課税額が大きいことから、現金化して取り崩すより、配当収入を得続けた方が精神的に楽である。ただし配当収入はそれだけで生活できるほど多くない。

- ダブルインカムを前提に首都圏に自宅を購入しており、収入減はキャッシュフロー計画の見直しが必要になる。
…これが悩みとして顕在化するということは、そもそも今の仕事に自己実現欲求の成就などは求めておらず、時間の切り売りの対価として金銭を求めている、ということの吐露でもある。
課題3:自分のメンテナンス時間の低下
自分のための時間が減った。今年に入り、妻がフルタイム復帰してからはそれが加速した。
具体的には、定期的な運動や散歩など、自身のメンテナンスや、その他の活動を安定して実施するための時間が確保しにくい。単に育児に時間が取られるだけでなく、特に夏になって暑すぎて、屋外でやる運動が億劫になっているのもある。私の場合は定期的な運動をしていることや睡眠時間が確保されていることと、思考の前向きさには明確な関係があるのを感じており、ここが崩れると仕事に対する取り組み度合いにも影響が出る。
このブログを書く時間を取れないのもそう。書かないと書くネタを思いつかないデフレスパイラルにも陥る。

課題4:残業で仕事を進めるやり方が物理的にできず出力が低下
基本的に今年になってほぼノー残業で働いている。育児と健康維持には良いのだが、例えば「日中、打ち合わせの間に細かいタスクをこなし、夜にまとまった作業を進める」という仕事の進め方を取りづらくなった。これは結構、仕事で思うような出力が出せないことに直結している。否、この時間内で終わる仕事しかやっていない。
特段誰かから仕事の成果を課せられる立場ではないのだが、周囲が持っている期待値に対してそれが満足なものなのかどうかは、まだちゃんと評価を受けるタイミング出ないこともありはっきりしていない。
このあたりのぼやきは以下の記事にも書いた。
じゃあどうしていくのか。
解決策1:今の環境への感謝
ある程度の年齢になったら、人生をP/Lではなくそれまで培ってきたことのB/Sで評価せよ、という誰かの言葉が刺さった。
夫婦ともに仕事があり、資産と働き方の選択肢があり、子供にも恵まれていることに感謝する。仕事は社会との接点でもあり、知的好奇心を満たす手段でもあり、ON/OFFのメリハリのある生活ができ、守られた権利と一定の収入をもたらしてくれる。可愛い子供もおり、特段大きな怪我や病気もなく、それぞれ個性豊かに育っている。妻とは何でも話せる。この全てが揃っていることに感謝する。なんかキリスト教徒の祈りみたいだ。
解決策2:キャッシュフローを悲観的に捉えて備える
いくら今資産があると言っても、有価証券は最終的に現金として取り出すまでその価値はバーチャル。また実際の寿命と健康寿命の差、つまりそれまでの蓄えで生きていかざるを得ない期間の期待値などを考えると、蓄えはいくら多くても多すぎることはない。収入の多角化(時間の切り売り→仕組みや資産から収入を得る構図への移行)は図るとして、直近一定のインカムが得られる手段であるサラリーを無下にしない。
解決策3:本心から取り組める仕事に集中する
仕事についても急がば回れで、「この仕事を通じて自分がなすべきことはなにか」を個人的に定義して、多少組織の合理とは違ってもその要素を突き詰めるのが持続可能であり、生産性を最大化できると思う。裏を返せば納得のいかない仕事に無理に取り組まないということ。幸いなことに、今の職場はこういう自発的な考えをある程度尊重してくれている気はする。
まとめ
5年日記をつけていると、そもそも8月は毎年やる気とパフォーマンスが悪いのでは、ということに気づいたりする。そういうときは一歩引いて、何が課題なのか分解し、無理なものとそうでないものを取捨選択するのが大事だよね、というお話かなと思います。振り返れば新入社員のとき、40-50代社員のやる気の無さみたいなものに幻滅したことがあるけれど、自身もその一端が垣間見える年齢になったのかも。