声をかけられた企業からのオファー内容がほぼ固まったので、改めて整理してみる。
私のプロフィール
- 30代後半、男性
- 現職が4社目、次転職するとしたら5社目
- 家族構成:同い年の妻(フルタイム勤務)、幼児2人
現職
- IT系大企業
- 管理職(今年から課長相当職)
- 商品企画を経て、商品に付随するサポートエンジニア部隊の課長になる。
- 社会的意義の大きな商材の商品企画や販売促進を担当。今年からは新規商材に対する付加価値検討に加え、過去の経緯を経た組織や商材の整理が期待されている。
- 周辺のキーパーソンからの社内評価高め。平社員で入社後3年で課長に昇格。
内定をもらっている企業
- 金融系
- いわゆる管理職相当のクラスとして入社。とはいえ部下はない。現職における課長に相当する役職はなく、部長からが管理職扱いの模様。それまでは一定程度年次で昇進が期待される。
- 年収は現職の課長相当職待遇より一定程度up
- 私が現職で扱っているのに近い商材を利用して、①社内プロセスを改善すること、②社外に対してサービスとして販売すること、の2つをミッションとする。既に一定の取組は社内で始まっているが、この成長のための増員として募集。
転職における検討要素① 人生におけるタイミング
何度か転職活動をしていると、「この求人私にハマるな」「この案件で声かけてくれた人、私の経歴をしっかり読んでくれているな」という求人に出会う。過去3度の転職と何度かの内定辞退を経験しているが、いずれの転職もこの感覚に従って選択して、結果的に後悔していない。
今回内定をもらった案件もそれに合致する。
私はITの中でも、とあるニッチな商材に関わる経験が長い。今回のオファーは、この商材自体の技術的革新を経て、ようやく社会で広く使われそうだ、というタイミングで、このサービスをユーザー側(兼サービスプロバイダー)として最も活用しうる企業からのお声掛けである。オファーされたポジションでの声掛けの理由のひとつに、ユーザーとして当該業界のベンダーと対等に対峙できること、というのがある。商材としての成長とともに必要となるポジションも拡大し、そこにこれまでの私の経験が満を持してハマったという、社会と自身の経験の交差点に立てたような感覚を感じる。
期待される業務についても、現職での経験を元に存分に暴れられる自信がある。次の職場も現職と企業規模的にも同規模で、社内での一定の身の振り方が身についている上で、現職で身につけた商品企画としての多方面との調整力や基礎知識が活かせる。それに加え、現職で攻めあぐねているのをもどかしく思っていた領域に対して積極的にソリューション提案することが求められ、社会的な意義的にもライフワークになる可能性が高い。
異業界への転職となるが、職種と商材が現職と地続きである以上、これは大きな障壁ではないと捉えている。経験上、一定のメタ認知能力があれば、業界固有の知見は数年いれば8割方は体得できうる。むしろこれまで直接接点のなかった金融業界に入っていけることは、私の個人的な好奇心を十二分に満たしてくれる。
検討要素② 現職にとどまることのメリット
今回の転職は純粋に「社外でやりたいことが見つかった」ケースであり、現職に決定的な不満があるわけではない。なので現職に残ることもかなり真剣に考えた。
今回仮に転職したとしてリスクがあるとすると、現職における高評価が一旦リセットされる点だ。現職では周囲のキーパーソンから目をかけていただいており、将来的にも一定の面白い経験が得られることと、昇進・昇給が期待される。これを維持することは、長期間今の会社にとどまりたいという希望がある場合に合理的な選択となる。
現職でもある大企業の商品企画とは、商品にかかる社内ロジの統括的な役割も担う。語弊を恐れずに書くと、プロセスの上で動く人に手の上で踊っていただくような立場でもある(が、ゆえにプロセスが非合理だと多方面からお叱りを受けるが)。このプロセス管理のお局様的立場に立つことが、会社にも私の立場的にも、幸せな関係の一つではある。
また大企業であればこそ、おおよそ想像のつく仕事は社内のどこかにある。会社も社員の自律的なキャリアパス選択を支援しており、このどこかに転身する、というのもまた合理的な選択である。
これらを否定する最大の要素は、現職内で携わっている商材の成長性の低さである。
携わっている商材は明らかに成長曲線の踊り場に近づいており、この先は不採算商材の整理など、お客様というより社内を向いた仕事の割合が高まる。これは確かに重要な仕事だが、現時点で私が自身の経歴として評価されたい仕事ではない。
また社内を見渡してみても、現状携わっている仕事以上にピンとくる仕事は少なくとも私の見える範囲では見えない。客観的にも感情的にも、業務内容的には今回オファーいただいた社外の機会の方が魅力的に映ってしまう。
検討要素③ 年齢やこの先のヴィジョンなど
30代後半で5社目に行く、というのは、自身でも転職回数が多いほうだと思う。仮に転職してもまた数年後、何かうまく行かなくなったときに他社への転職を検討する可能性は、客観的な事実を振り返ると我ながら否めない。
一方で、様々な面で、次にもう一度同じような転職をすることが合理的な選択にならないだろうと思う。
これまでは幸いなことに転職するたびに待遇が上がってきたが、おそらく今後はそうならないであろう。振り返ると、新卒入社してから31歳のときに最初の転職をする際の年収は額面で500万円くらいだった。それが数回の転職を経てリニアに増えてきた、というのは、転職による成功体験になっている。その結果、このような形で入社できる日系企業における、年収の上限に近いところにいる自覚はある。この先は、自身の経験値を得る面でも、より高待遇を得る面でも、仮に難局に差し掛かったとて転職、すなわち、ある種逃げる選択をするのではなく、腰を据えてメンバーを率いて行くことが期待されるし、自らもそれを希望する。
また、額面年収が一定のラインを超えてくると、天引き割合が酷いことになってくる。所得を増やす側面では、サラリーマンとしての本業の収入を増やすことより、個人事業主などの立場を併用した副業による各種対策や、金銭的な所得より社会的な意義を増やす機会を増やす方にリソースをかけることが合理的だと考えられる。
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果たして転職するのか…?
この記事は、オファーレターにサインをするまでの回答期間に、主として自身の考えをまとめるために書いている。妻とは話をして、働き方的に保育園の送迎に支障が出ないことに加え、途中で書いた「社内外の機会を鑑みたときに転職後のポジションが最も魅力的に見える」に納得感を感じてもらった。
とはいえ現職で頑張ることも合理的に考えて悪い選択肢ではない、というのも心の片隅にあることも確かである。また客観的に見て、これ以上転職履歴を重ねることが私にとってメリットなのかどうかもわからない。
果たしてどうなったのか、はしばらく後の「キャリア」カテゴリの記事をお楽しみに…。
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